3月8日、将棋のA級順位戦のプレーオフが東京都内で指され、藤井聡太五冠が広瀬章人八段に勝利しました。本来、A級順位戦では優勝者が名人に挑戦することになっていますが、今期は藤井五冠と広瀬八段が7勝2敗で首位に並んだことで、プレーオフの開催となりました。これで藤井五冠は、渡辺明名人への挑戦権を獲得。名人戦7番勝負は4月に開幕。藤井五冠が勝利を収めれば、史上最年少の20歳で名人へ昇り詰めることになります。世間の注目を浴び続ける藤井五冠、そのプレッシャーに負けず、いつものようなマイペースさを保ちながら堂々と戦うことができるのでしょうか。名人戦に向け藤井五冠は、「江戸時代から続く歴史ある称号。出場する重みを感じる。大きな舞台にふさわしい将棋を指したい」と意気込みました。
もくじ
藤井聡太 成績を振り返る
2016年度
2016年に四段へ昇段し、デビュー戦を”ひふみん”の愛称で人気の加藤一二三九段と戦った藤井五冠。2016年度に指した将棋は10局で、なんと無敗の記録を残しているのです。デビュー戦から日本中の注目を浴び続けてきた藤井五冠。年度をまたぎ、歴代最多とされる29連勝という記録を叩き出しました。
2017年度
本格的な藤井フィーバーを巻き起こした2017年度は、当時3つのタイトル保持者だった羽生善治九段をも負かすという記録を残します。ABEMA TVで放送された「藤井聡太四段 炎の七番勝負」では、6勝1敗と大活躍を見せました。
そして年が明けて行われた朝日杯将棋オープン戦の予選で、羽生善治九段や広瀬章人八段を破り、最年少で優勝。それと同時に、最年少で六段への昇段も果たしたのです!
藤井五冠が大活躍に大記録を残したこの年の年度末には、活躍した棋士を表彰する「将棋大賞」で、特別賞・新人賞・最多対局賞・最多勝利賞・勝率1位賞・連勝賞・名局賞特別賞という7つの賞を受賞。まさに話題を独り占めする1年となりましたね。
2018年度
2018年度には、またも最年少で七段に昇段した藤井五冠。1年間で3つもの段を上がった棋士は前例がなく、藤井五冠はここでも史上初という記録を作ったのです。そして前年に続き行われた朝日杯将棋オープン戦では、渡辺明名人を含む先輩棋士を下し、2年連続優勝も決めました。
2019年度
2019年度は、藤井五冠にとって試練の多い年となりました。もっとも世間の期待を集めていた最年少タイトル挑戦・王将戦で、広瀬章人八段を相手に痛恨のミス。逆転負けし、あと一歩のところで王将戦への挑戦権を逃してしまうことになります。藤井五冠にとってもスランプだったのか、自身の師匠でもある杉本昌隆八段に対し不調を相談していたこともあったそう。
2020年度
竜王戦ランキング戦4期連続優勝という、幸先の良いスタートを切った2020年度。新型コロナウイルス拡大のため、対局が延期されるなどのハプニングにも見舞われましたが、持ち前のマイペースさを生かし、そんなことに微塵も影響されない屈強な精神を見せつけます。棋聖戦でも最年少タイトル挑戦権を獲得すると、その翌月には木村一基九段から王位のタイトルも奪取。八段への昇段とともに、最年少でのタイトル二冠を奪取するという記録を塗り替えます。また、朝日杯将棋オープン戦では2年ぶり3度目の優勝を果たします。第3回AbemaTVトーナメントでも見事優勝を飾り、大活躍を見せました。
この年には、年間表彰にあたる「将棋大賞」で、初の最優秀棋士賞を受賞している藤井五冠。ほかにも「升田幸三賞」や「名局賞」で特別賞に選出されるなど、2020年度も藤井フィーバーは衰えを見せませんでしたね。
2021年度
2021年も白星スタートだった藤井五冠は、前年に獲得している棋聖タイトルをストレート勝ちで防衛。あわせて九段昇段を果たします。この年に自身初となる三冠を、そして最年少となる四冠も達成。2022年に入って行われたALSOK杯王将戦七番勝負で、渡辺明王将を相手に4連勝のストレートで奪取すると、またも最年少での五冠を達成しました。
2022年度
タイトル防衛戦からのスタートだった2022年度も、3連勝のストレート勝ちで防衛に成功した藤井五冠。ALSOK杯王将戦七番勝負では、レジェンド・羽生善治九段の挑戦を退け初防衛を果たします。そして2023年3月、名人への挑戦権を獲得しています。
藤井聡太も目指す「名人戦」とは?
「名人」とは、将棋界で最も歴史のあるタイトル。プロ入りをしても、最低5年の月日をかけなければ挑戦することができません。これまでの最年少記録は、谷川浩司十七世名人が1983年に達成した21歳2ヶ月。藤井聡太五冠が4月の名人戦を制すれば、40年ぶりの最年少記録更新となり、日本中の注目が集まっているのです。
14時間にも及ぶ激闘の末手にした名人への挑戦権
藤井聡太五冠は、3月8日朝からなんと深夜まで、14時間近くに及ぶ戦いを勝ち抜き、名人戦へのチケットを手にしました。
現在の最年少記録記録保持者・谷川浩司十七世名人のコメント
藤井聡太五冠が挑戦する名人戦。勝てば史上最年少での名人獲得となりますが、今現在その記録を40年にもわたり保持している谷川浩司十七世名人は、「以前は、記録を破られることに対し複雑な気持ちがあった。しかし、これだけの実力、実績、人気を兼ね備えた藤井さんになら、破られるのはむしろ光栄だ」と語り、藤井五冠の挑戦を見守る姿勢を見せました。藤井五冠も、「名人という言葉は自分が将棋を始めたころから知っている。谷川先生に挑戦できるのは光栄であり、感慨深い」と喜びを嚙み締めました。
まとめ
長い将棋の歴史の中で、前例のない抜きん出た才能を見せ続けてきた藤井聡太五冠。「名人戦」というのは、八大タイトルの中で最も古くから行われている戦いであり、現在20歳の藤井五冠が制すれば、40年ぶりの記録更新となります。日本中が注目する、歴史的な戦いとなるでしょう。そんな藤井聡太五冠の最新ニュースは、「豆知識カフェ」で気になるエンタメ情報とともにお届けしていますよ。